
次に、最近よく目にするようになったPTSDと境界性人格障害の違いを見てみます。PTSDとは心的外傷後ストレス障害の略で、英語ではPosttraumatic Stress Disorderといいます。事故や災害などにより自分自身や他の人の生命と身体の保全に関わる多大なる脅威を体験、目撃、または直面したのちに、心の傷(トラウマ)を負う障害です。
PTSDが、明らかに衝撃的な心的外傷的出来事に突発的に遭遇し、その後に精神症状が発症するというのに対して、境界性人格障害は、ある具体的な出来事に対して突発的に反応するというのではなく、成人期早期までに顕在化する障害です。
そしてPTSDに特徴の心的外傷的出来事についての反復的で苦痛な夢や侵入的な想起、フラッシュバックなどの再体験症状、また心的外傷的出来事の想起に結びつく刺激の回避は、境界性人格障害には見られません。
しかし、境界性人格障害の人が、心的外傷的出来事に遭遇してPTSDを発症することや、PTSDの人がその後、対人関係の持ち方に影響が出て境界性人格障害と併存することはあるそうです。ここで1つ確認をしておきます。
境界性人格障害と複雑性PTSD(いじめや性的虐待など長期反復的トラウマ体験による心的外傷後ストレス障害)の関連性を指摘する研究者もいます。しかしアメリカ精神医学会では複雑性PTSDを正式な精神疾患として取り上げていません。ですが境界性人格障害の多くの人が虐待や虐待に近い経験を受けたというデータがあるのも確かなので、今後の検討が必要であるとされています。
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